QRじゃトンガレない
QR(クイック・レスポンス)は、生産開始を販売時期に近づけることで初期生産量を抑えるとともに、シーズン中の売れ行きをみながら売れ筋の追加投入を可能とするSCMの一つです。
在庫リスクを最小限にでき、欠品を減せるので、生産・調達などの合理化につながると言われてきました。ところが、この手法は、生産の効率化には有効なのですが、売上を増進するには優れた商品開発や消費喚起策と組み合わせることが前提であるため、最近ではQRに基づいたMDでは消費者の心を掴めない傾向が強くなっています。
QRを重視する体制だと細部にこだわった商品を作るのが難しい
売れ筋の特徴に似た商品をQRで投入する企業が増え、商品が同質化することが衣料品不況の一因と言われています。市場に対応して慌ただしく動くことよりも時間をかけて他者にない商品を作りこむことが勝利につながることに気づき始め、服作りの原点に立ち返り始めた企業が出てきました。
※その一例
鎌倉シャツ~客がまだ見たことのない商品をどう作るかを重視し、QRで追加生産はしない
ポールスチュアート~太った人が履いたときの見栄えが良いパンツを開発
QRという魔法は使うタイミングと方法次第で効果が違ってくる
QRはヒット商品を長期間効率的に売る仕組みですが、意外や意外、ヒット商品自体を生み出す力はないのです。そのため、一つ間違えれば、ヒット商品の源泉であるMD力が蝕まれてしまう恐れがあるわけです。つまり、その成功するためのポイントはその使い方にかかってくるのです。
(2005年3月28日 日経MJより)
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