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2005年8月

2005年8月31日 (水)

欧米スーパーに見る次世代店舗

欧米の小売業で、最新のITを導入して、買い物をより快適にしようとする動きが盛んになっています。ここでは『買い物ナビゲーション端末』を利用したスーパーを紹介します。

ボストン南郊の街にあるとある食品スーパーでは、利用者は入口で端末を受け取ると、自分の会員カードのIDを読み込ませます。そして、LAN経由でサーバーに接続し利用者が過去13週間に何を買ったか?などの情報を呼び出します。端末画面には、購買頻度が高く、会員カードで安く買える商品の一覧が表示されるので、それを基にリストを作り、買い物をしていきます。

売り場ごとに購入経験のある商品やお買い得品が表示されるので、必要に応じて買い足していけば良いわけです。この端末は、画面最上段に買い物総額が表示されるので、予算オーバーで慌てることなく買い物ができるのも便利な特徴の一つです。

精算は専用レジに行って、端末の買い物終了のアイコンを押すだけで済むので、待ってもせいぜい1人か2人なので、イライラすることもありません。

このような 『買い物ナビ』はメトロなど欧米の大手小売業数社も導入済です。残念ながら、ITという点では日本の小売業は“周回遅れ”という印象は拭えませんね。

(参考資料:2005831日 日経MJ)

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2005年8月30日 (火)

再び脚光を浴びる喫茶店

社会の第一線から引退された方(特に男性)が必要とするのは『居場所』と言われます。

2007年以降、団塊世代がリタイアしていくことを考えると、“ゆっくりできる場所”“人と繋がる場所”として『喫茶店』が再び脚光を浴びると予想されます。消費体験が豊富な団塊世代は、満足感が得られる上質な時間を過ごせるなら、ある程度の出費はいとわないと思われます。そうした世の中の流れを受け、落ち着いた雰囲気のある店内や本格的な味を追求する伝統的なこだわりの喫茶店に復興の兆しが見られます。ここでは、注目の2店を紹介します。

『椿屋珈琲店新宿茶寮』(東京都新宿区)

ブレンドは840円。従業員は控え室にあるシャワーを浴び、体を清潔にして接客する

『宮越屋珈琲』(北海道札幌市)

100%自家焙煎の豆を使い、勤務3年以上の社員がドリップする。昨年、三越本店にも出店した

(参考資料:2005817日 日経MJ)

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2005年8月29日 (月)

セキュリティ便

ネット不信を逆手に取った安心の高みを目指すサービスが『セキュリティ便』です。

この『セキュリティ便』は、バイクで届けられた電子ロック付きの荷物に同封された解除キーをパソコンに入力すると、暗証番号が表示されます。この番号を荷物についている電子ロックに入力してはじめて開くことができるのです。運転手が運ぶローテクとネットの二重のカギというアイディアは、まさに「現代版開けゴマ」と言えます。

これからは現実と仮想を上手く組み合わせるサービスが求められてきます。…となると、重要なのは、リアルとバーチャルのどちらに偏ることもない感性…でしょう。

(参考資料:2005827日 日本経済新聞)

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2005年8月28日 (日)

禁煙居酒屋~出足は好調

7月にオープンした全面禁煙の居酒屋『手作り厨房』は、従来の居酒屋ではあまり訪れなかった客層(乳児や子供連れの家族や妊婦)が目に付くようになったそうです。「全面禁煙は、居酒屋は滞在時間が長く、アルコールを飲む客層の居酒屋においては、客数減に繋がる」というのが定説でしたが、オープンして1ヶ月を経過しての結果は、分煙導入時より2割アップの売上となっています。

今後において『手作り厨房』は多店舗展開を目指していますし、他社もこの全面禁煙を導入する動きをみせています。今後の全面禁煙の動きがどの程度定着するか?が注目されてくると思います。

(参考資料:2005827日 日本経済新聞)

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2005年8月27日 (土)

40歳の男性の立場から見た行商

昨日のブログで紹介した『ターベルモーノ』の運営する「築地 野口屋」は世田谷区に3店舗あり、引き手の社員さんたちは、ほぼ1週間で世田谷区全域を回ります。

というわけで、私もこの「築地 野口屋」の売り子さんは何回も見かけました。

でも、一度も買ったことありません。理由は、あまりに意外なビジネスモデルということで(何かウラがあると思い)腰が引けてしまうのです。

そこで必要なのがメディアを使ったアピールだと思います。新聞や雑誌、テレビで取り上げられることで「ああ、真面目な商売なんだ?」という安心感を見込み客に与えることができます。

私も事実、日経MJの記事を見て買おうと思いましたから…(ただ、最近リヤカーを見かけないので、未だに豆腐を買えてません)

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2005年8月26日 (金)

行商は高齢化社会に適合したビジネス?

『ターベルモーノ』は「築地 野口屋」の屋号で豆腐の製造・行商を手がる異色の食品ベンチャーです。

豆腐製造メーカーの専務だった野口博明さんは、高コストの百貨店内ビジネスの限界を感じて2003年に独立し、「リヤカーを引きながら町内を回って、自社工場で作った豆腐を販売するビジネスモデル」を構築しました。

その特徴は、70台あるリヤカーを2030代の引き手200人が交代で、1日約18kmの距離を68時間かけて、ゆっくり歩き、お客さんとの会話やふれあいを重視する販売スタイルにあります。また、GPSや携帯電話を使った行商支援システムにより、毎週、同じ時間に同じ場所を訪れることを可能にし、家業でしか営めない行商を組織的なビジネスに確立しました。

野口博明社長は「人と人とのつながりが薄れる大都会で顔が見える行商こそが高齢化社会に適合している」と考えており、さらなる店舗展開と、高齢者向け食品の行商への進出プランを練っているそうです。 (参考資料:2005729日 日経MJ)

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2005年8月25日 (木)

サービスの有料化が顧客に安心感を与える

店舗面積50㎡の小さな家電店である『パナックいまづ』(山口県阿波須町)では、今津太一社長が「無料で何でもやるのは家電店の悪い習慣。サービスには対価があることをお客さんにも店員にも分かってもらうことが大事だ」と考え、10年前に『電球交換900円、家電製品の移設2500円、ボタン電池の交換300円…』といった事細かな料金表を作り、サービスの有料化に取り組みました。

導入当初は反発もありましたが、現在では、お客さんからは「有料なので、かえって安心して頼める」と、店員からは「丁寧で親切な対応が徹底できるようになった」と好評を博しています。

すると、この便利屋ぶりが評価され、リフォームの注文が舞い込み始めました。そこで、2級建築士を雇い、大工さんを組織化して、2ヶ月に1件の受注(平均単価150200万円)を引き出すことに成功し、新しい収益の柱を作り出しました。

その結果、今期は、売上は前期比20%増の8100万円、粗利益率は36%という好調な業績を残すことができたのです。

(参考資料:2005824日 日経MJ)

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2005年8月24日 (水)

同窓会ブームの背景は?

今、同窓会がブームになっています。これには、卒業生側の思惑と学校側の思惑が合致したという側面があります。

卒業生側の事情

団塊世代が定年を目前に迎え、会社以外のつながりを求め始めました。そうなると、まずは同じ大学の出身者との交流を図りたいということになり、同窓会へのニーズが高まった。

学校側の事情

大学経営が厳しさを増している中、就職支援、寄付金などでOBの力を最大限活用したい。そのために同窓会等を企画して卒業生に集まってもらい、大学の存在をアピールしたい。

200573日 日本経済新聞)

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2005年8月23日 (火)

目覚めた?オトコの消費

質の良さ、快適さの追求にお金を惜しまない豊かな男性の消費が活発化していると言われています。そんな情況を象徴する商品を二例紹介します。

115万円の宿

鹿児島県牧園町にある旅館『天空の森』は東京ドーム7倍の敷地に一日二組しか宿泊できません。

文字通り最高の贅沢を一泊15万円で味わえるのです。

341200万円の旅行

アールプロジェクト・インコーポレイテッドの企画したツアーは、ジェット機などをチャーターして温泉街などを巡るという34日で1200万円の豪華ツアーを企画しています。

この他にも、830日にオープンするレクサス、山崎五十年の人気ぶりを見ていると富裕層のオトコ消費が目覚めつつあるかもしれない…と感じずにはいられません。

そういった仮説を裏付けるように、高くても自分に合った商品やサービスを求めるプレミアム消費をすると答えた人は2000年の13%から2003年には18%に増えています。そしてまた、2030代の男性にこのような傾向が強いのが注目される点です。

(参考資料:2005818日 日本経済新聞)

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2005年8月22日 (月)

目指せ!『家電コンビニ』 ~ さくらや八重洲店

東京駅八重洲口からほど近い「さくらや八重洲店」は店の広さが400㎡と狭いため、小物家電と消耗品を拡充し、重さ10キロ以下の持ち帰り品に特化した謂わば『家電コンビニ』を目指しています。

リピーターが多い地域密着の中核になる店作りのために下記のような工夫を重ねています。

①バックヤードを拡充し、欠品を防ぐようにした。 

②店頭に旬の商品を置いて目を引き、パソコンやデジカメ売り場はゆとりを持たせ、その隣には消耗品を置いてついで買いを呼び込む…というような、顧客の動線を分かりやすい売り場作りをする。

③修理専門カウンターを設置した。

現在の一日あたりの来店者数は1200人。近隣オフィスの社員とJR関連の職員が主たる顧客でうち78割がリピーターです。粗利益率は20%という現状です。

(参考資料 : 2005817日 日経MJ )

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2005年8月21日 (日)

40歳未満お断りの店

東京の表参道に先月オープンした『BAR AOYAMA40』は、原則として40歳未満の入店はできないというユニークなBARです。大人が若者に気兼ねすることなく酒を楽しめる雰囲気作りを目指しているそうです。(店の広さは56㎡で、目標月商は350万円)

入店に際しては、指紋認証(200円)を受ける必要があります。こうすることで、通常はロックされているドアを開くことができます。

ただ私としては、いくら雰囲気が良くても、究極の個人情報である指紋を取られてまで入店したいと思わないのですが、皆さんはどうですか?

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2005年8月20日 (土)

愛着を生み出す二通のレター

昨日紹介した居酒屋『○○長屋』は個人情報を書いたお客さんを短期間でリピーターに育てる工夫をしています。そのポイントは、お客さんが帰った後のアプローチにあります。

アンケートに記入して長屋の住人になった人には、お店から『長屋住人の証書』が送られてきます。しかし、通常のサンキューレターと異なるのは、「私達の仲間にようこそ」という意味が含まれている点です。この含意がとても大切なのです。

二週間ほど経つと、二通目のレターが送られてきます。そこには“店主が店を開くに至った経緯”“店に込めた想い”が書かれています。レターの最後には「店主のおばあちゃんの家は、炭鉱町の長屋でした。小さい頃はボタ山で遊び、駄菓子屋に通い、縁側で昼寝した、そんな故郷のような心温まるお店です」と綴られています。そしてまた、レターには「幸せを呼ぶ石」と名づけられた“小さな石炭のカケラ”がささやかなプレゼントとして同封されています。その石には「これは45000万年前の石炭です。黒ダイヤと呼ばれ、かつてはエネルギーとして日本が豊かになるという夢を叶えました。そして今度はあなたの夢を叶え、ハッピーと元気が一杯になるように私達からのプレゼントです」というメッセージが添えられています。

こうした一連のアプローチは短期間に店への愛着を深めてもらうことを目的としています。

お客さんは、レター、証書、プレゼントを通して、“この店が長屋風情であること”“自分達がお客ではなく長屋の住人であること”を店主ともに共有するようになり、再び店に足を運ぶのです。

(参考資料:2005817日 日経MJ)

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2005年8月19日 (金)

個人情報を書いてもらう秘訣は?

顧客リスト作成のために個人情報を書いてもらうのはなかなか骨が折れます。ほんの少しの工夫を積み重ねて成功している居酒屋さん(店名が「○○長屋」)の事例を紹介します。

お客さんに「お勘定」と言われた際に「デザートのアイスを差し上げますがいかがでしょうか?」と聞き、デザートを提供する時に「当長屋の住人になりませんか?」と切り出します。

そこでOKが出たら住所、氏名等を書いてもらうわけですが、驚くほどスムーズに個人情報を書いて貰えます。

そして、さらにもう一工夫をして“住人バッチ”を渡しますのですが、その際にほんの少しの演出をします。それは「これであなたも住人です!おめでとうございます!!」と言って、店員さんが祝福して、イベント性を持たせるのです。

隣の席のお客さんも当然この光景を見ているので、頼まれると「ああ、あれか…」と思うわけで、ごく自然に個人情報が集まるというわけです。

(参考資料:2005810日 日経MJ)

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2005年8月18日 (木)

新・お値打ち男性ブランド 決め手は『高級感と価格』そして『物語性』

自分を装うことに目覚めた3050代の男性に向けた『手に届く高級ブランド』の勢いが増しています。

三陽商会「エポカ・ウォモ」、UA「ダージリン・ディズ」、ナイキ「コールハーン」といったこれらのブランドは、高級感と手に届く価格(スーツで10万円台、ジャケットで38万円)を両立していますが、その秘密はイタリア生地を高い技術(イタリアに匹敵する)を持つ中国の工場で生産してコストを抑えているところにあります。

コストを抑えたことにより、男性がブランドに求めていたが価格が高くて手が届かなかった『ウンチクを語れる工程と素材』というツボを抑えた点も人気の秘密です。新・お値打ちブランドは、手縫い、山羊革、カシミア生地などを使用し、見えない細部にもこだわることで、その背景にある“物語やうんちく”を楽しめるようになっています。

さらに、店に足を運ぶことで、店員から“物語やうんちく”を事細かに教えてもらい知識の裏づけが取れる…という楽しみも人気を後押ししているのです。

(参考資料:日経トレンディ9月号)

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2005年8月17日 (水)

『新・お値打ち5000円割烹』  狙うは次回来店の先行投資

日本料理店というと、1万以上の高級店か、味はそれなりの店か…という選択肢しかありませんでしたが、最近50006000円で810品の本格的な日本料理が食べられる割烹が目に付くようになりました。

この5000円割烹では、素材に思い切って金をかける料理と金をかけない分、手間を惜しまずに作る料理をいかに組み合わせるか?がポイントになってきます。それでも、原価率が40%程度(標準的日本料理店では30%台半ば)という高コストのため、5000円割烹ばかりを注文されると、採算は合いません。ですから、5000円割烹で十分満足してもらい、次回の来店ではその上のコースを注文をしてもらう…というのが本当の狙いなのです。

以前の3800円ブームは、店が素材を誤魔化したり、お客さんがいつまでたっても3800円コースを頼む…という悪循環のせいで飽きが早く、定着しませんでした。

しかし、今回は、お値打ち感のある5000円コースを設定して、一つ上の利益率の高いコースに客さんを誘う戦略、つまり松竹梅メソッド(http://fx2kmas.air-nifty.com/weblog/2005/04/post_e733.html)の応用系の一つである点が異なっています。

(参考資料:日経トレンディ9月号)

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2005年8月16日 (火)

動物病院~経営と医療の完全分業戦略

ブイエスシー(VSC)は、経営と医療を完全に分離した動物病院の開業を展開しています。

まず、予定地付近の動物病院などの立地条件を徹底的に調べ、条件が合えばVSCが法人契約し、テナントとして場所を確保します。

院長や獣医師はVSCの社員となり、医療のみに専念する(経営の実務は全てVSCが行います)

経営と医療を完全に分離することで、従来は難しかったマーケッティングやブランド戦略が可能となります。

このビジネスモデルのポイントは「実力のある獣医師なら立地が十分ならば、小規模でも成功できる」という点にあります。その理由は、今の動物病院の診察や料金に満足していない飼い主が多いからなのです。

(参考資料:200581日 日経産業新聞)

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2005年8月15日 (月)

きめ細かさで狭さを補う~ヨドバシカメラ郡山駅前店

ヨドバシカメラ郡山駅前店(福島県郡山市)は、1000㎡という店内の狭さを「展示商品の絞込み」「頻繁な模様替え」「高齢者の来店に備えたサービス体制の強化」と言ったきめ細やかな運営でカバーしています。

展示商品の絞込み

本店のデータ(全店の販売数量)と自店のデータを比べます。

次に、都心と地方のギャップを埋めるために、販売員が書く日報から集めたお客さんの声を参考にして展示商品を絞り込みます。

頻繁な模様替え

月3回の模様替えを行うとともに、売れない商品については1週間で店頭から外しています。

高齢者の来店に備えたサービス体制の強化

平日の6割は高齢者ということもあり、日頃から分かりやすい言葉で説明できるように、閉店後に話し方についての研修会を実施しています。手間がかかるが、こういった努力こそが地域密着の姿勢に繋がっていくのです

(参考資料:2005810日 日経MJ)

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2005年8月14日 (日)

アルコールセンサー

タニタのネット販売店「健康はかりや」で人気なのが、息を吹きかけるだけで、空気中のアルコール濃度(酔いのレベルを12段階の数値で表示)を測定できる『アルコールセンサー』です

http://www.tanita.co.jp/products/index.html

もともとは自己管理を促す機器として開発されたのですが、最近は飲みすぎの友人へのプレゼントとして購入する人も増えているそうです

(参考資料:2005729日 日経MJ)

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2005年8月13日 (土)

電車もオフィス

長距離通勤のグリーン車を『もう一つの仕事場』として利用する人が増えています。

「車内滞在時間の長さが適度で仕事に集中するのが最適である」という意見が多く、また「適度な騒々しさと振動が脳にとって意思決定になって集中力が高まる」とも言われています。

鉄道各社もこういったニーズに注目しています。例えば、つくばエクスプレスでは、快速車両の一部の座席に小さなパソコンが置けるテーブルを設けることになりました。さらに車内の無線LANの設置も計画されているそうです。

(参考資料:200586日日本経済新聞)

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2005年8月12日 (金)

お客さんが買いたくなる店

「顧客の視点に立った売り場を作る」と口で言うのは簡単ですが、その追求には限りがなく、難しいものと言えます。

日本経済新聞社発行の『ついこの店で買ってしまう理由』に「ファッション売り場ではありすぎるぐらい鏡を置く」というアイディアが紹介されていました。具体的に言うと、サングラス売り場ならば、顔が見える小さな鏡に加えて全身を写す大鏡を置くということです。これは、多くのお客さんがサングラスと洋服や体形と似合うかどうかを知りたがっているという視点に立ったからこそ出てきたアイディアなのです。

確かに、ネクタイ売り場に行っても小さな鏡がポツンポツンとあるだけです。

お客さんが実際に手に取り似合うかどうか?を気軽に試せる売り場にしよう…と思えば、様々な種類の鏡が数多くあっても良いはずです

(参考資料:200587日 日経MJ)

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2005年8月11日 (木)

不便なところに宅配コンビニ

愛知県を地盤とする宅配機能付きコンビニ『タック・メイト』が売上高・店舗数を順調に伸ばしています。酒類からお菓子や枕までの様々な生活用品の宅配を手がけ、地元密着型の営業を展開し、郊外に住む中高年層の強い支持を得ています。最近では、身の回りの買い物をほぼ全てタック・メイトで済ます客が増えたことにより、取扱う商品数は大手コンビニより1割多い4500品まで増えました。

大手コンビニでは導入が進まない宅配が上手く機能する秘密とは?

①加盟店の2/3は元酒販店なので宅配に慣れていること

②宅配経費はかさむが、ロイヤリティーが月15,000円なので十分に吸収できること

③本部自体が酒販卸会社もしているので、仕入量が伸びれば卸事業の収益が増えること

④宅配を必要とする不便な場所にある商店を業態転換するという形で出店していること

(参考資料:200587日 日経MJ)

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2005年8月10日 (水)

宅配サービスで顧客を掴む

三重県のスーパー『スーパーサンシ』では宅配事業が好調で、毎月の宅配売上が2億円にまで成長しています。

その特徴は、一日二便の配達体制です。売上の7割を占めるネットスーパー(会費月500円)で注文をすると、その日のうちに商品が届き帰りには資源ゴミを回収してくれます。

もう一つの特徴は、高齢者に特化した宅配サービス『安心クラブ』の存在です。これは、店が定期的に電話をして注文を受けるというまさに現代の“御用聞き”です。その際、電話をしても返事ない時は、登録してある周辺の家族に電話連絡し、万が一の事態を未然に防ぐ役目も担っています。

(参考資料:2005725日 日経MJ)

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2005年8月 9日 (火)

地域の特性を考えて3つの店舗タイプ

中部・関西でドラックストアを展開する『ジップ・ホールディングス』は、店舗形態を従来の「郊外型小商圏型」に加え、「コンビニ型」と「中商圏型」の3つに分け、その地域特性に合った店舗を出店する戦略を展開します。

駅付近に出店するコンビニ型(店舗面積400㎡)は、通勤・通学者を主たる顧客とし、化粧品・大衆薬・健康食品を中心の品揃えで年商2億円を目指します。

人口密度の低い地域を対象とする中商圏型(店舗面積830㎡)は、日用雑貨の品揃えを強化して年商5億円を目標としています。

都市型と郊外型の2業態を抱えるドラックハウスはありますが、3業態は業界初めての試みです。そのため、このジップの試みは同業他社からも注目されているのです。

(参考資料:2005725日 日経MJ)

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2005年8月 8日 (月)

ストア100 仕切り直しで巻き返す

ローソンは、5月末に始めた『ストア100』の運営を見直します。現在営業している都内8店舗の6店舗は目標日販の50万円をほぼ確保していますが、不振の2店の売上は25~30万円と低迷しています。このため、「2006年2月期に100店」…という出店計画数は変更しないものの、8店舗のうち、不振の2店は閉鎖し、出店の立地の選定基準を大幅に見直します(現在の店舗面積は約130㎡が標準だが、200~230㎡の大きめの店にも取り組む)

また、生鮮品の仕入れ方法を変更して鮮度を向上させることも目指します。現在の「築地市場→物流センター→翌日に店舗に配送」という流れを「築地市場→市場内で仕分け→当日に店舗に配送」に変更して、鮮度アップを図ります。

そして売上低迷は認知度の低さもあることから、8月中に店名に“ローソン”の社名を入れて(予定される店名は『ローソンストア100』)、ローソンのブランド力をフル活用します。    (参考資料:日経ビジネス8月8日号&日本経済新聞8月5日)

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2005年8月 7日 (日)

コンビニが八百屋になりたがるのは何故?

スリーエフが手がける生鮮コンビニ『キューズマート』は現在8店舗が営業しています。平均日販が約70万円で、ライバルの『ストア100』(50万円を何とか確保)を一歩リードしています。世田谷区にオープンした1号店の店内を覗くと、野菜売り場はストア100よりスーパーに近い感じになっているのが目を引きます。

では、どうしてコンビニ各社が生鮮品を扱いたがるのでしょうか。それは、POSで見えない未来の変化(現在コンビニから足が遠のいている主婦や高齢者の嗜好等の動き)を読み、町中にあるという立地の便利さを生かして顧客の幅を広げようとするならば、生鮮品の中でも比較的管理しやすく少量販売にも適した「野菜」に行き着くからです。そして、鮮度の高い、価格の安い野菜を家の近くで買えるならば、わざわざ遠くのスーパーに行く必要はありません。このビジネスモデルが成功すれば、画一化したコンビニから脱却できるわけです。

最大手のセブンイレブンも生鮮コンビニについては検討中ですが、現在のところ鮮度管理が難しいので算入する予定はないようです。これは言い換えると、生鮮コンビニが成功するカギは“鮮度”に尽きるわけで、ストア100の苦戦の原因の一つも、この“鮮度管理”なのです。

(参考資料:日経ビジネス200588日号)

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2005年8月 6日 (土)

レガシーコスト

過去からの請求書とも言えるレガシーコスト(負の遺産)が、企業において静かに膨らんでいます。

例えば、擬似通貨であるマイレージは、日本航空や全日空が金額を開示しない負債ですが、過去の発行総額は約11兆円に上ると推計されます。

また、ヤマダ電機のポイントの3月末残は150億円にも上ります。引当金を計上しているので会計上は問題はありませんが、顧客が一斉にポイントを使うと店頭製品の1/7を無償で引き渡すことになります。

このように、その時々の収益極大化に役立つ手法であっても、時を経れば“重し”に変わっていきます。今後は中長期的な視点でレガシーコストと向き合う姿勢が求められるわけです。

(参考資料:2005724日 日本経済新聞)

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2005年8月 5日 (金)

銀座&日本橋 住める都に

銀座、日本橋を抱える東京都中央区の人口が急増しています。マンションが続々と完成し、利便性を求める新生活者が流入したことで、人口が3年で10%以上増えているのです。その結果として、食や娯楽など多様な分野で今までにない動きが活発化しています。

銀座や日本橋の店舗では、広域商圏(電車やクルマを利用して来店)を前提に商品政策を組み立てていましたが、新市場(徒歩や自転車で来店)が出現したわけです。

となると、都心で生活を始めた消費者の不便や不満を掴むことが、大きな商圏につながる可能性を秘めているわけです。例えば、駐輪場が足りない…という不満をビジネスチャンスに繋げるにはどうしたらいいか?といった発想が求められるのです。

(参考資料:200581日 日経MJ)

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2005年8月 4日 (木)

コンビニの次世代モデル

コンビニの既存店売上高の低迷は、中食(弁当・おにぎり)を中心に展開するビジネスモデルが曲がり角にきていることを示しています。

そこで、次代のビジネスモデルを本格的に模索する動きが浮かび上がっています。そのカギは、“店内調理”“宅配サービス”“店内無線LANサービス”といった多機能型コンビニをコスト管理を徹底させつつ普及できるか?です。

この多機能型への転換にはコストがかかります。店内調理であれば、キッチン設定に5001300万円の設備投資と調理担当のアルバイトを12人増員による人件費が必要となります。これら新サービスは、粗利益率が高めでコスト吸収が可能と言われていますが、それはあくまでも販売が伸びるという前提の話で、安閑とはしていられないのが現状です。

しかし、従来型コンビニを続けていても、ジリ貧状態になっていくのは避けられませんし、本部としても新規出店で既存店売上高のマイナスを補う手法は限界に近くなっています。

そう考えると、新分野開拓で独自性を競う動きがさらに活発化するのは自然の流れと言えそうです。

(参考資料:2005727日 日経MJ)

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2005年8月 3日 (水)

コンビニの新しいビジネスモデル

コンビニ各社共通の悩みである商品の廃棄ロスは、組織の巨大化の歪みとも言えます。

例えば、ローソンでは経常利益額に匹敵する年間400億円分の弁当が捨てられているという現状ですが、今までのように「廃棄ロスは必要コスト」などという考え方は通用しなくなっていきます。となると、商品廃棄を前提としない新たなビジネスモデル作りが求められてきます。

コンビニ各社は、現在における“利益の確保”と未来における“環境への貢献”の両方について戦略を練る必要があるのです。そして長い目で見れば、後者の戦略が繁栄持続のカギとなると思われるわけです。

(参考:2005723日 日本経済新聞)

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2005年8月 2日 (火)

近距離手当

サイバーエージェントでは、本社のある渋谷駅から2駅圏内に住む社員さんに対して毎月3万円の『近距離手当』を支給しています。

これは人材流失(ストックオプションを目当てにして集まった技術者が続々と退社)に頭を悩ませた藤田社長が「組織力を高めるのは仲間意識である」と考えて導入したものです。

驚くことなかれ、この手当の導入で18%の離職率が8%に改善されました。会社の近くに住むことで仲間意識が高まる…ウソのような本当の話です。

(参考:2005720日 日本経済新聞)

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2005年8月 1日 (月)

ソフマップ有楽町店 中古品拡充で勝負!

ソフマップ有楽町店は、パソコン・家電の中古売り場を拡充し、“中古品の売上高比率を現在の2割から3割に引き上げる試み”に挑戦しています。

中古品の品揃えを重視している理由は2つあります

①ウィンドウズ98の潜在的な買換え需要が高まっているが、わざわざ秋葉原には足を運ばない層が有楽町近辺に存在すること

②売上高から粗利益の確保を重視した経営に転換したことで、粗利益率が数%の新品販売よりも2030%の中古パソコン販売に力を入れざるを得なくなったこと。

近くにヨドバシカメラなど極力なライバルがひしめく都市型店舗で、この中古販売の強化という戦略が成功するか?大いに気になるソフマップの静かな挑戦です。

(参考:2005727日 日経MJ)

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