溶ける業態~ボーダーレス時代

2012年11月 1日 (木)

店外需要の獲得を目指す居酒屋チェーン

外食業界やサービス業界にとって、新規顧客の開拓は共通課題です。若者の酒離れや会社員の節約志向の高まりに直面する居酒屋チェーンも例外ではありません。「 北海道 」 では、2,000円と2,500円の二種類の宅配用のメニューを用意し、店まで取りに来た場合は1割引く制度を導入してお得感を打ち出しています。モンテローザは通販サイトを活用して、店舗メニュー ( 大人数で楽しめるメニューを中心に10品を用意し、2,0003,000円で提供 ) の販売を始め、買い物をためらう主婦や高齢者を取り込んでいます。「ダイナック 」 は出張パーティの拡大に乗り出し、10人程度のホームパーティから3,000人規模のイベントまで対応しています。このように各居酒屋チェーンは外食店の出前より一歩進んだサービスを展開することで、店舗外需要の取り込みに知恵を絞っています。が、これは限られた外食需要を業態の垣根を越えて奪い合っていることにすぎません。有望と思われた宅配分野ではありますが、過当競争に飲み込まれつつあります。

( 参考資料:日経MJ 20121019日 )

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2008年8月15日 (金)

調剤再編にセブン登場

医薬品販売の再編の舞台にセブン&アイホールディングスが上がりました。

セブン&アイは、調剤最大手のアインファーマシーズと資本・業務提携し、アインに7.8%出資します。医薬分業の流れに乗り、急成長した調剤薬局チェーンも成長スピードは鈍化の傾向にあります。両者はコンビニと調剤薬局の共同出店ななどで新たなビジネスモデルの創出を目指します。イオンや商社が主導する調剤薬局の再編はセブンが名乗りを上げたことで一気に加速しそうという見方が強まっています。(参考資料:200888 日経MJ)

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2008年6月30日 (月)

小売業の行方

小売業において、MAを通じた再編の流れが加速化すると見られています。

しかし、原材料高に起因する消費低迷などで、規模の利益を引き出すには、高い壁があることが鮮明になってきています。

これは、規模を膨らませた二強(イオンとセブン)は既に営業減益と失速していることからも明らかです。また、規模を誇るメガ百貨店も経営効率向上の道筋を描ききれていません。

果たして、これからの小売業は規模の拡大に向かい続けるのでしょうか?…答は見えていません。

(参考資料:2008625 日経MJ)

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2008年5月15日 (木)

パリから東京へ

世界的なスターシェフ『ゴードン・ラムゼイ』は、「今、世界の食文化の中心は、パリから東京に移りつつあります。」と言います。事実、日本の食文化に憧れ、日本に移り住もうとする料理人がロンドン、そしてNYで増えているそうです。これを額面通りに受け取ることはできません(ゴードン・ラムゼイの東京店のPRという側面もありますし…)が、世界から東京の食文化が注目されているのは間違いなさそうです。

(参考資料:2008427 フジサンケイビジネスアイ)

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2006年6月12日 (月)

専門店ビルへの業態転換の難しさ

今年3月に業態転換した東急百貨店港北店(横浜市)では、郊外店の専門店ビル化の先行例となるべく、試行錯誤を繰り返しながら奮闘しています。

30代のファミリー層といった顧客層を絞りこんで来店客の増加につなげる狙いでカジュアル衣料の『ザラ』、ハワイ雑貨の『フラハワイ』を誘致して、来客数で前年比50%増、 買い物客数も前年比5%増となり、集客面では成功しました。

しかし、百貨店が最も得意とする40歳以上の既存客が予想以上に離れたという誤算のため、既存客の減少という失敗がありました。

売上面では、4階のインテリア用品売場は改装しなかった為、商品構成と買い物客が噛み合わずに15%減、業態転換をせずに自前で運営するB1の食料品売場も顧客が若い世代に移り、客単価が減少したため、7%減となりました。

対策として、東急百貨店では4階のテナントを入れ替える予定でいますが、三越新宿で核テナントのロフトの撤退した例で分かるように、専門店ビル転換への道のりは厳しいのが現状です(参考資料200665日 日経MJ)

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2005年12月 7日 (水)

百貨店VS専門店ビル

売り場面積約65000平方メートルを誇る高島屋大阪店は、海外七大ブランドを揃える近畿で唯一の百貨店です。しかし、昨年11月にJR大阪駅そばの西梅田に複合商業施設『ハービスエント』がオープンして風向きが変わってきました。

海外ブランドは店の規模によって、在庫数が決ってしまいます。そのため、規模の小さい店だと売り切れるのが早く、結果として利用客は商品のある店に流れてしまいます。

『ハービスエント』、そしてその隣に位置する『ヒルトンプラザウエスト』、『イースト』にはそれぞれ海外ブランドの大型ショップを有し、西梅田ブランド街を形成しています。

この西梅田ブランド街と比べて、規模で劣る百貨店内のブランドショップは不利な戦いを強いられており、高島屋大阪店も昨秋から海外ブランドの売上の落ち込みに苦しんでいます。

高島屋も反撃に出ています。7大ブランドをはじめとする46ブランドの認知度を高める広報活動や、カルティエ、ティファニー、ブルガリの手頃な価格帯の商品を販売するサテライト店の期間限定営業などで、11月からは予算通りの売上確保を目指しています。

(参考資料:2005125日 日経MJ)

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2005年12月 1日 (木)

業務用スーパー対食品スーパー

和歌山市郊外にある『業務スーパー和歌浦店』の客層は、お年寄りや子供連れの主婦、飲食店関係者と幅広いのが特徴です。PB商品が中心で中間コストを徹底して削減した冷凍品は一般のスーパーでは真似できない低価格で、利用者から高い評価を受けています。反面、取扱品目数は食品スーパーの半分以下の2500品目しかなく、利用者からの不満の声も聞かれます。

この業務スーパーの2軒隣りで営業する低価格型スーパー『プライスカット西浜店』は、食品スーパーの強みである生鮮品の鮮度感やNBの品揃えにこだわっています。つまり、業務スーパーが冷凍食品を品揃えの中心にしているのに対し、青果や鮮魚の鮮度を強調することで差別化を図る戦略を取っているのです。

一日の来店者数は22002400人で、生鮮品と日用品は何でも安い、他店より品質が高いと好感する声が多いのが特徴です。

現在、NB食品や生鮮品を買う消費者を囲い込む「食品スーパー」と、冷凍食品などまとめ買い需要を取り込む「業務スーパー」という住み分けの構図が見えますが、今後はこの両業態の競合がますます本格化すると予想されます。

そう考えると、現在の固定客を離さず、いかに売上を伸ばすかがカギになってくるわけです。

(参考資料:20051128日 日経MJ)

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2005年11月22日 (火)

生鮮コンビニVS食品スーパー

小田急線向ヶ丘遊園駅(川崎市)から徒歩3分に位置する生鮮コンビニ『九九プラス』は2001年の開業以来、売上を順調に伸ばしてきました。しかし、今年に入ってから食品スーパーの『ライフ』(2年前にオープン)に客の大半を占める男性客を奪われ、来店数で前年比7%減、売上高で5%減と厳しい状態にあります。

『九九プラス』は、小分けした生鮮品を99円均一で販売するという強みを持っていましたが、今年は食品スーパーが99円を下回る価格で販売し始めため、その優位性が薄れてきました。

99円均一価格と24時間営業の利便性を売リ物にする『九九プラス』に対して、『ライフ』は時間ごとに総菜などの量目や品揃えを変えるタイムマーチャンダイジングに力を入れ、各時間に来店する顧客のニーズに合った品揃えを実現し、夜間の顧客を奪うことに成功しました。

また、レジが常時10台稼動している『ライフ』に対し、2台しか稼動していない『九九プラス』は並ぶことを嫌う男性客に敬遠されているようです。

食品スーパーと生鮮コンビニが今後も各地で激突することは必至だと思われます。向ヶ丘遊園の結果が全国に通用するとは限りませんが、地域事情に合った戦略がさらに重要になってきそうです

(参考資料:20051121日 日経MJ)

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2005年11月18日 (金)

スーパーセンターVS食品スーパー・HC

佐賀県東与賀町にイオンがスーパーセンターSuCをオープンして半年が経ちました。

衣食住15万品目を揃える巨艦店の出現は周辺の食品スーパーとホームセンター(HC)に大打撃を与えています。SuCから1キロほどに位置するHCのナフコ南佐賀店は、4月以降は客数が2割減り、日用品部門の売上は3割も落ち込んでいます。対抗策として日用品の値下げを試みましたが、SuC優位は揺るぎません。 

では、なぜSuCが抜群の集客力を維持できるのかというと、価格の見直し、新しい商品の投入などの細かい見直しを矢継ぎ早に行っているからなのです。こんなSuCにも弱点はあります。それは日曜大工部門(DIY)が弱いことです。これとは反対に、ナフコはまとめ買いをするプロ客の支持を受け、DIYは好調です。 

イオン九州はSuCを北部を中心に2010年まで20店を計画しているため、今後SuCとナフコが九州の各地で競合するのは避けられないと見られます。業態を越えた戦いは今まさに始まったばかりなのです。 

(参考資料:20051114日 日経MJ)

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2005年11月 9日 (水)

デパ地下VS駅ナカ

毎日23万人が乗降する埼玉県の大宮では、デパ地下『そごう大宮店』と駅ナカ『エキュート大宮』が激しい戦いを繰り広げています。

ともに商圏は電車で30分以内ですが、主客層が45歳以上のそごうに対してエキュートは2030代の支持を集めています。

また、それぞれの強みとしては、エキュートはすぐに電車に乗れるという利便性、旬の店が並んでいるというトレンド性に対し、そごうは魚などの生鮮を扱っていることや老舗が揃っていることが挙げられます

現状を分析すると、電車利用客については、エキュートがデパ地下客を奪っていると言えます。

しかし、通勤等で週10回も店頭を見続けていればアキルわけで、便利すぎる故に集客に影響が出るという弱点も持ち合わせており、これが今後の課題となります。そこで、エキュートとしても、商品の入れ替えの頻度を上げるなどの対策も考えているわけです。

一方、そごうも和菓子の名店などといった集客の強みに、健康関連商品といったブランド店に頼らない名品の発掘に力を入れています。

エキュートのような駅ナカは今後、日本各地に広がっていきます。大宮の「デパ地下VS駅ナカ」の戦いは対岸の火事ではなく、成長を続けるデパ地下にとっての今そこにある危機なのです。

(参考資料:200511月 日経MJ)

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